基礎工事の内製化+大工の多能工化を同時に実現

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「工期厳守」と「多能工化」

基礎工事を内製化するようになって1年。藤澤さんは「合理性を追求するうえでどうしても外せないポイントだった“ 工期のずれ”を解消できたのが大きな収穫」だと話します。これまでだと、基礎工事の日程が延びる度に後工程に入る協力業者に謝罪し、改めて予定を組んでもらう流れが常態化していましたが、そのスケジュール調整の手間や精神的なストレスから解放されました。

そして、もう1つの大きな成果が「大工の多能工化」です。興味深いことに、同社はもともと職人の多能工化を積極的に進めており、大工が庭の簡易土木を担ったり、板金業者が建て方のサポートに入ったりと、それぞれの得意分野を生かしながら職域を広げる機会をつくってきました。このため、今回の基礎工事の内製化もすんなり始められたとのことです。

「とっかかりの抵抗感は誰しもあるでしょうが、職人たちの表情を見る限り『やれることが増えてうれしい』というプラスの反応がほとんど。経験上、自分のスキルが上がることを拒む職人はいません」と藤澤さんは言います。

また、基礎工事の内製化と職人の多能工化は、深刻化する人材不足にも有効だと考えています。「社員大工だけでなく、協力業者にも多能工化を広げておけば、人手に関する問題は当面回避できる。自社で処理できることが増えれば職人の安定雇用につながるうえ、施工品質・精度も追求しやすい。当社にとってはいいことだらけです」。

ハイストロング工法を導入してから、近所の人が珍しがって現場に集まるようになり、地元住民との接点も増えつつあるそうです。「新しい工法への不安は当然ありましたが、結局やるかやらないか。私たちは挑戦して良かったと思っています」。


ハイストロング工法の作業現場。外周のEPS パネルが型枠と外張り断熱層を兼ねる。
建築のフジサワでは、外側に付加断熱をほどこす。
内部の立ち上がりの代わりに「グリッドポスト」を設置。
コンクリートを一発打設するため打ち継ぎがなく、浸水・シロアリ侵入リスクを解消する。


建築のフジサワの提案するこだわりの住宅。「ハイストロング工法」は、
床下配管・配線の自由度が高く、メンテナンスもしやすいため長期優良住宅と好相性。

※本記事は新建ハウジング タブロイド(7月20日号)掲載記事をもとに加筆・修正したものです。

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