連 載 ● 住宅営業コンサルティングの現場から

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伸びている会社のやり方は?契約率の方程式から見えるポイント

今、「契約率」を上げている会社のポイントを整理してみましょう。

契約率は一般的に以下の公式で表わされます。

契約率=契約数/集客数

これを「案件化数=本当に買う気になったお客様の数」で分解してみますとこうなります。

契約率が落ちているというのは全国的な現象ですが、

契約数/買う気になった客

は実はそれほど落ちていません。つまり最終段階まで来て、プランと見積もりを出して、数社競合になった時の
確率は、どの会社に聞いてもそれほど落ちていません。ここは価格対応力やデザイン力などの総合的な商品力、
いわば競合と自社の総合的な対応力で決まりますがそこに大きな変化はありません。

今、大きく落ちているのは買う気になった客/集客です。
資料請求があったお客様、モデルハウスに来てくれたお客様のほとんどが予算のあるなしに関わらず「本当の意味で買う気になっていないお客様」です。
今、契約率を上げている会社は
買う気になった客/集客ここの確率を上げています。
つまり、「お客様をその気にさせる手法」を徹底的に研究し実践しているのです。お客様が「その気にならない」一番の理由、それは「資金的な確信が持てていないこと」、つまり「資金的な将来不安」です。そこにフォーカスして対応するスキルを標準化しているのが「リライフクラブ」の「FPコンサルティング」なのです。

意欲解放スキルを高めている会社事例

リライフクラブ会員の住宅会社メンバーはFPコンサルティングの実践手法についてこのように語っています。

「今、住宅を買っているのは大企業社員や公務員さんですが、この層も年収は下がっていて住宅にはお金をかけられないという気持ちになっています。この層のお客様は教育レベルも高いので例えばお子様の教育費などには非常に興味を持ち、「教育費は相当にかかるだろうな」と覚悟しています。そういうお客様には、『ハイアーFP(リライフクラブのFPシステム)』の「教育費」のところで『私立だったら、公立だったら…、理系だったら、文系だったら…下宿した場合には…』と様々なケースで計算します。昔はそこまで心配している方は少なかった。皆『何とかなるだろう』という思いがあったように思います。今は完全に違いますね。すべてのお客様がFPの対象になります。」(首都圏不動産仲介B社社長)

「住宅を買おうとしている30代くらいのお客様は、自分の将来にわたる『ライフプラン』を考えてシミュレーションをしている人はあまりいません。買い控え客は先行き不安、支払い不安なのでこの『ライフプラン』の話をするとすごく反応されますね。」(地方住宅会社C社営業部長)

ただ当初はやり方を間違えて失敗したという会社もあります。

「ウチのメンバーは以前は『資金計画しませんか?』と言ってお客様に引かれていました。資金計画というのはお客様にとっては尋問で丸裸にされる感覚なんですね。やらなきゃいけないのは『資金計画』ではなく『FP』なんです。FPのライフプランシミュレーションは『親身になってあなたのことを考えている』ということが伝られます。それをどう伝えるかで尋問ではなく信頼を獲得できるようになるんです。ここをウチのメンバーには研修で学んでもらっています。」(住宅メーカーD社社長)

最後に冒頭のA社社長の言葉を紹介します。

「住宅営業はお客様から信頼されなければなりません。今ほど信頼されることの重要性が高まっている時はありません。信頼している人から家を買うことを丁寧に勧められて初めて買う気が芽生えるのです。買えるかどうか不安に思っている気持ちをほったらかしにされたまま家の話だけをされて『買いましょう!』とプッシュをされても『この人は家を売りたいだけだ』と思われるだけでこれでは決して信頼はされません。ただお客様は不安だといっても実はその不安は漠然としています。何がわからないのかがわからないのです。そのわからないことをFPで明確にするんです。」(A社社長)

買い控え客はいずれどこかで家を建てます。それが今か先かというだけです。そこを『今建てよう!』ということを決断してもらうのが、今の住宅マーケティングのポイントと言えるでしょう。そして多くのお客様はそう思わせてくれた会社から家を買っているのです。

(川瀬)

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