シリーズ眼を養う#016
R+house 住宅のデザインを探る

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依頼された内容は、2世帯同居の住宅であった。
建設地は長野県安曇野市、県の中では積雪量は多くないが冬季の最低気温は-10℃を下回る地域である。
敷地は住宅と田畑が適度に混在している環境の中にある。
とはいえ周囲は住宅に囲まれており、南東の方角に隣家の建っていない抜けがある状況だった。その抜けの方角へ建物をひらくこととし、光や広がりを得られる計画にしようと考えた。

具体的な機能としては、1階に親世帯居室と両世帯の集まるLDK・水廻りとし、2階に子世帯居室等を配した。子世帯にはセカンドリビングを設けたが、同居するうえでの適度な距離感をつくることに特に配慮を要した。1・2階で2世帯を物理的に分けながらも一体感を感じられる距離感、それを解決する方法として、中心に吹抜を置き関係性と連続性を最適化するよう試みた。
また、吹抜を南側に配したことでより多くの採光を確保でき、南東からの明るい光で満たされた豊かな空間となった。日照時間が少なく太陽高度の低い冬季にも吹抜から太陽光が奥まで差し込み、日射が入りづらい1階に暖かさをもたらす計画となっている。

家族の関係性、外部環境、構造、温熱環境、予算、機能など。あらゆる与件を等価にバランスさせることが建築デザインの基礎であると私は考えている。

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