HyAS住宅不動産業経営戦略コラム

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住宅・不動産会社の経営と相続

大相続市場を目前にした賃貸管理業界の課題

日本では、常に新しい投資をし続け資産を形成する構造のフロー型経済から、蓄えた資産をベースに豊かさを享受するストック型経済への移行が図られており、住宅不動産業界においても、不動産資産の管理・運用に関する専門家がこれまで以上に必要とされています。

賃貸管理会社にも今、変化が求められています。従来のように、管理戸数の拡大と得られる付加収入の拡大を図っても、少子化や高齢化の進行によって借り手は減少し、家賃も下落しています。管理戸数が増えればそれに比例するように手間も増えますが、入る手数料は思うように上がりません。大規模に展開する会社とのパイの取り合いは激しくなり、疲弊していくことでしょう。

さらに、ここに来て増えているのが、相続にともなう混乱です。これはお聞きした実例です。K様は地方の会社の賃貸管理部門の責任者でした。近年、地域の人口は減少し続け、管理する物件も家賃を下げたところで借り手がつきません。オーナーへの提案も受け入れてもらえず、このまま今までのように賃貸管理業を続けていても厳しいのではないかと考えていたと言います。そのような時に事件が起きました。ある朝出社すると、「自社の管理物件が、A社から売りに出ている」、そう営業担当から教えられました。その物件は自社で長年管理していたもので、元々ご主人が所有していて、最近ご主人が亡くなったのを機に娘さんが相続していました。K様は寝耳に水。しかもA社は地域のライバル会社です。K様は慌ててオーナー様のお宅に連絡をしました。娘さんとはほとんど面識がなかったのですが、アパート経営については全く無知で無関心だったよう。税理士に相談をし、勧められるままに売却を決めたということでした。K様にとっては、物件の管理手数料収入を失ったばかりか、不動産の売買案件までライバル社に取られることとなり、大きな痛手となりました。

実は、このような話は増えています。それは、高齢化が進んでおり、資産を持った世代が亡くなると、必ず相続の問題が発生するためです。管理戸数の拡大を図りながら、従来のように物件ばかりに目を向けて真面目に賃貸管理をしていても、相続が発生したときにしっかりと対応をできなければ、蓄積してきた自社の経営基盤は一気に崩れかねません。では、どうすればいいのか。

必要なのは、物件管理から家族の財産管理に視点を変えることだと考えます。オーナーの所有する財産全体についてアドバイスする立場となってオーナー自身との信頼関係を築き、何かあったときには必ず自社に相談をしてくれるという関係を築けていればいいのです。そうすれば知らないうちに管理物件が自社から離れていくことはないでしょう。また高齢化、少子化が進み、家賃相場が下落したとしても、「空室の対策をしたい」、「他の遊休地にアパートの建築の提案を受けているのだけど、どうだろうか」、「売却して資産の組み換えをしたい」といった相談が、営業をしなくともオーナーの方から来るようになるはずです。

このような業態の転換の必要性は長く語られていましたが、多くの、特に地方の中小の会社では旧態依然とした事業から脱却できていないのが現状です。それは恐らく、具体的な成功のイメージが持てないこと、オーナーの懐に入り込み信頼を得るためのノウハウがないこと、教育を受ける機会がないことなどがハードルとなっていると考えます。しかし、業界の先行きに対して健全な危機感を持ち、試行錯誤の末にハードルを越えてきた会社は、賃貸管理業という枠に捉われないビジネスで成功体験を積み始めています。人口の減少、少子高齢化、そして相続の問題は、寧ろこれからさらに加速していきます。今こそ新しいビジネスに本気で取り組むべきタイミングだと考えます。

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