将来の暮らしを見える化する住宅FP提案が「強み」になる


新築市場はあと15年で4割縮む。明るい話題ではないが、悲観する必要もない。何か「強み」をもち、生き残ればいいのだから。「そんな時代こそ住宅FP提案が有効だ」とグローイング(京都府福知山市)・大田康之社長、レオック(愛知県豊橋市)・藤井善章ハウス事業部事業部長は口をそろえる。住宅FPグランドマスターのおふたりに、話を聞いた。

大田康之さん
株式会社グローイング(京都府福知山市)
代表取締役
初代住宅FPグランドマスター
藤井善章さん
株式会社レオック(愛知県豊橋市)
ハウス事業部事業部長
二代目住宅FPグランドマスター

説得から納得へ。住宅FP提案で不安を取り除く

大田: 住宅の契約を大きく左右するのはやっぱり、お客様の予算です。年収から導き出した漠然とした金額を「予算」と呼び、その金額の妥当性を検証しないまま、「説得」して受注につなげる。いままではそれでよかったのかもしれませんが、これからはお客様の「納得」がなければ選ばれない時代。いまの収入がいつまで続くか、年金受給がいつから始まるか、将来不安が大きくなるなかで、その不安を取り除く力がある住宅会社だけが生き残っていくと思うんです。

将来の暮らしを見える化する

大田: 不安を取り除く手段として、住宅FP提案はなくてはならないものです。私は2008年からリライフクラブに加入し、ライフプランシミュレショーンツール『ハイアーFP』を活用しています。何がすごいのかというと、グラフを使って「将来の暮らしを見える化」できること。お客様の未来を見越して身の丈にあった住まいを提案するとともに、住宅ローンと教育資金のピークが重なったときの切り抜け方まで具体的にアドバイスします。

お金の話がちゃんとできると、契約率はがぜん上がる

藤井: じつは当社は、つい半年前まで契約率の低さが悩みのタネでした。自由設計のプラン依頼をいただいても、たいていの場合、お客様の要望とともに家のボリュームが膨らみ過ぎて予算オーバー。何度もプラン変更を繰り返した末に失注するパターンがとても多かったんです。それが住宅FP提案を取り入れるようになったら、この短期間で契約率が3割改善。目標だった「プラン依頼からの受注率7割」も、射程圏内に入ってきました。
たとえば、『ハイアーFP』を使って返済可能額を算出し、それを当社の税込坪単価で割って適切な建物のボリュームを決めたうえでプランを作成する、という方法に切り替えたら、予算と要望のギャップがなくなり、失注が激減。プラン変更にかかっていた時間(最低でも3カ月、6回)は最大で1/3 にまで減り、一方で利益率はあがっています。効率化のおかげで、以前は営業1人で同時進行できる限界は6組でしたが、いまは10組くらい抱えても余裕を感じるようになりました。

大田: うちは、創業時から住宅FP提案に力を入れているので、受注に波がなく、安定経営をキープできています。2カ月に1度、5組限定の家づくり勉強会を開いて希望者を資金相談(住宅FP提案)に誘導、そこからの契約率は約9割にのぼります。このシンプルな営業ステップの過程で納得が得られるので、必要以上に集客したり、説得する必要がないのは大きなメリットだと思います。

営業から「医者」のポジションに

大田: リライフクラブに入って一番よかったのは、お客様と理想的な関係を築けるようになったことです。一般的にはお客様が上、住宅営業は下という構図になりがちですが、当社の場合は明らかに私のほうがポジションが上。とくに2015年に住宅FP提案日本一の「グランドマスター」を獲得してからは、それがより明確になり、医者と患者のような関係ができあがっています。

藤井: 僕はまだ大田さんの域には達していませんが、そのポジションがいかに理想的かはよくわかります。営業ってどうしても「いい人」を演じがち。とくに営業スキルが未熟な若いスタッフほど、プレゼントやフレンドリーな態度でお客様やお子さんの気をひこうとします。でも、それが受注につながらないことは数字をみれば明らかです。そして、住宅FP提案をやるようになって気づいたのは、お客様は「いい人」ではなく、「頼れる人」を求めているのだということ。早い段階で医者と患者のような関係性ができると、お客様はそれ以降もいろんな場面で頼ってくれるようになります。従来の営業では築けなかった特別な関係です。

住宅FP提案のプロになる

大田: 金融機関の融資担当者=住宅ローンのプロだと思われがちですが、実際はそうとは限りません。金融機関頼みではなく、工務店自身が知識と経験を積んで、お客様のライフプランサポートのプロになるべきだと思います。現に私は、地域の住宅ローン相談の「かけこみ寺」として、金融機関以上に頼られることも少なくありません。
以前、当社のOBさんが、友達に「どこで資金相談したの?」と聞かれて「工務店さんにやってもらったよ」と答えたらすごく驚かれたそうです。残念ながら、工務店が住宅FP提案に強いイメージはまだありませんが、OBさんが私たちの手腕を高く評価してくださったことで、周辺のお友達も当社に資金相談に来てくれたことがありました。そういう存在になったら、もう競合はいません。大半の会社はプランや見積もりで勝負しようとするけど、私たちはもっと前段階で勝負をつけることができるのだから。

工務店のイメージを変えるチャンス

藤井: 住宅のデザイン・性能のレベルがどんどん上がり、すべての新築がZEH化したら、建物での差別化はもうできません。そうなったときどんな会社から買うか、もっと言えばだれから買うかが重要になってきます。人を信頼して何千万円もの家を買う時代がそこまで来ているなか、住宅FP提案は非常に強みになります。家がいいのは当たり前。いまは営業する人の強化が必要です。

大田: 確かに、他とは違うことを強みにしないと、縮む市場では生き残っていけませんよね。ただし、住宅FP提案が有効なのは明らかですが、自己流ではとても太刀打ちできません。人の一生を左右する、何千万円もする商品を扱っているのだから、ちゃんと学んでスキルを身につけ、住宅FPマスターの有資格者としてお客様の将来を見える化し、彼らの身の丈に合った暮らしをサポートしてあげる。それこそが我々の仕事だと思いますし、従来の工務店のイメージを覆すチャンスにもなるはずです。

リライフクラブとは

顧客の安心・納得の住まい探し提案を掲げ、ライフプラン、ファイナンシャルプランを含めた住宅FPサービスを実践する住宅・不動産会社の全国ネットワーク。会員になると便利なシミュレーションツール「ハイアーFP」を活用することができ、活用するためのトークやポップ等の現場ツールに至るまでノウハウが整理されている。導入後の講座を通じてノウハウを習得でき、ライフプランや住宅ローン等の相談を交えた住宅営業スキルを身につけることで契約率、受注率の向上をはかることができる。

会員数は約60社・2000人。2015年より住宅FPマスターの資格認定制度を運営しており、大田氏・藤井氏は、それぞれ2015年、2016年に最高位のグランドマスターに認定されている。

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