CMS(コスト・マネジメント・システム)による利益創出
~日々の活動の積み重ねで、3~5%(場合により10%以上)の利益率改善~

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例えば木工事の場合、見積原価3,150,000円に対して、実行予算段階で3,400,000円となり、粗利益率は30.0%から24.4%に低下してしまっています。典型的な営業見積もり段階でのミスが疑われ、想定される要因は、営業時の見積担当者の拾い漏れ、木材価格の上昇を織り込んだ原価設定がなされていなかったこと、オプション工事のお金をもらえていなかったこと等、人為的なミスや原価設定に課題がありそうです。

その後、現場が終わった後に帳簿を締めてみると、工事原価(支払金額)が3,600,000円に膨らんでいました。発注以降に工事現場で何らかのミスや管理不足があり、予定以上の費用が掛かっていることがわかります。想定される原因は、発注段階でのモレや追加工事等による材料費の増加、大工の人工数が想定以上に現場でかかってしまったこと等、現場管理レベルに課題がありそうです。仮にこの時、現場で人工数がかさんでしまっていることが原因であれば、実行予算作成後に発注書を切り、納品基準と金額をあらかじめ確定しておけば、少なくとも結果に伴う人工数の増分は防げたのかもしれません。

左記の木工事の事例は一例ではありますが、物件ごとの原価管理状況を一覧化することにより、自社が利益を確保できていない理由が、営業見積段階のミスによるものなのか、発注段階での実行予算の問題なのか、工事後の支払金額管理の問題なのか、どの段階に課題があるのかを浮き彫りにすることができます。その状況を、都度、経営者自らが営業担当や工事監督、現場担当にフィードバックして原因の究明を行い、適切な対策を打つことが、利益確保に向けた改善活動の第一歩になります。

営業や工事の現場では、日々数万円の利益がブレる要因が点在しています。これらが放置され、適正な判断がなされないまま積み重なっていくことで、事例のように、営業粗利率を27.8%で設定していた物件が、帳簿を締めてみると22.1%まで低下してしまったり、内容によっては赤字工事に転落してしまったケースも起こり得ます。

ここにメスを入れるだけでも、冒頭で申し上げた利益率の改善につながるイメージが持てたのではないでしょうか。さらに一歩踏み込んで、進行中の物件でもこれら利益を押し下げる要因をタイムリーに察知し、予防的に対策・指示をすることができるようになると、更なる利益率の改善につながります。

次に、CMSではキャッシュフローの推移を確認できます。具体的には、邸別原価管理情報とお客様からの入金情報を対比することで、現時点の残高ならびに支払予定を考慮した予定残高が自動計算されます。この工事に伴うキャッシュフローが把握できるということは、経営者が最も注視すべき資金繰りの見通しがタイムリーに行えますので、資金調達や返済の意思決定における重要な判断材料となりえます。

さらに、CMSでは邸別原価管理情報を横断的に統計することで、業者ごとの発注状況や支払状況を整理・分別して確認することができます。これは、特定の業者に対する利益率の変動・低下を発見し、業者や担当者ごとの傾向を把握し、発注・支払条件の見直しや業者教育の実施、新規業者の選定の判断基準とすることができます。

このように、CMSでは営業見積から実行予算の作成、工事原価の確定までの一連の流れを、担当者が日々の活動としてシステム入力することで、自動的に原価管理情報をデータベース化することができます。したがって経営者は、煩雑な資料作成の手間をかけさせることなく、必要な時に、必要な情報をCMSから入手できますので、その場で対策を検討し、改善に向けた指示を出すことができるようになります。これが会社の仕組みとして機能することで、業界トップクラスの利益管理水準が実現し、それが必然的に会社に利益が創出される企業体質へとつながるのです。

CMSセミナーのご案内

今回ご紹介したCMSを活用した経営セミナーを、4月2日(木)の仙台を皮切りに全国10拠点で開催します。

セミナーでは、CMSノウハウの開発者をメイン講師として、住宅業界における利益の考え方から、適正な利益管理手法、自社への定着までのご支援内容等についてお伝えします。自社の企業体質改善に間違いなく役に立つ内容ですので、興味のある経営者様は是非ともご参加いただければと思います。(鵜飼)

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