シリーズ眼を養う#012
R+house 住宅のデザインを探る

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熊本県津奈木湾岸に位置する敷地は、広がる八代海と山畑の風景の中にありました。先ずはこの風景に馴染んだ建物を創造しました。

高台の敷地ではその眺望のよさの反面、海からの強風という自然の怖さを考慮しなくてはならない。そこで屋根形を海に向かって伏せた片勾配屋根としました。離れて山道から見てみると海から山へ同化して、風の流れが見える様でもある。

計画はみかん農家を営む三世代二世帯住宅。家族は明るくてにぎやかでした。近所の人もよく訪れるこの家では玄関らしい玄関は設けず、入口を開けると畳座敷と土間縁があり、座敷に腰をかけひなたぼっこ。話もはずみそうです。縁側は内外のあいまいな余剰空間でありますが、この土間では冬季の蓄熱層の役目も担っています。

みかん農家の主人は日々畑では農薬などを浴びて帰宅します。建物の裏側に外部水洗と裏口から脱衣室、浴室を近くに設け、清潔な状態で家内に進入できる動線をつくっています。表裏口の線を結び、表口からも子供たちが帰宅してすぐに手洗いできるような動線も確保することができました。

室内はあまり仕切らず、吹き抜けなどを介して三世代家族のつながりを大切にしています。大家族の洗濯物や収納についても効率よく解決しています。二世帯住宅の割には大きい面積ではありませんが、コンパクトに広く住むという空間づくりに成功した建物だといえます。

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