住まいと健康の関係の「未来の当たり前」を考える
住宅不動産事業の生産性革新と日本の未来 シンポジウム HyASフォーラム2017 を通じて

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「どうやるか?」適合義務化の対応準備は進んでいない実態
~ハイアス独自調査から~

2017 年 8月後半、全国の中小住宅会社、不動産会社に対して弊社では独自に住宅不動産業の業況調査を行いました。現在の景況感は? この先の事業経営にあたって不安材料は? など多様な項目についてお聞きしましたが、その一つとして2020年の「省エネ基準適合義務化準備状況」についてもお聞きしました。

調査回答からは、「顧客に十分説明できるほど、内容をよく理解している」が全体の46%、「顧客への説明には不安が残るが、内容はまぁ理解している」が全体の32%と計8割弱が制度について一定の理解をしているという
回答でした。しかし「顧客への説明には不安が残るが、内容はまぁ理解している」と回答している企業でも「準備はこれから」「全く(準備の)予定が立っていない」という回答が8割を占め、実態としてはまだまだ顧客を安心、
納得させる健康・省エネに関する情報を提供できる体制にはないことも浮き彫りになりました。

「どうやるか?」欧州や米国だけでなく隣国にも劣る基準のクリアだけでいいのか?
HEAT20のG1・G2レベルを手に入れる

ご紹介した調査の結果をどう捉えれば良いでしょうか。平成 25 年省エネ基準適合の準備すら「これから」との回答がほとんどという状況は、前先生の言う「未来の当たり前」を先取りすることが今ならば差別化につながることを示しています。世界に目を向ければ、家族の安全安心と健康、豊かな暮らしを提供するには日本の性能はあまりにも低いことがわかります。義務化後、みんなが「適合」ということになるその先に、競合に勝つためにはZEHを超え、世界を意識したHEAT20レベルへとより先取りをした水準の技術やノウハウをできるだけ短期間で手に入れることが重要だと考えます。加えて2020年の義務化スタートまでの時間の短さを考えれば、自社が提供する商品サービスや技術の健康・省エネ性能を「より早く」向上させることに着手すべきだといえます。

性能向上の具体化には各社が独自に技術開発を行う、あるいは教育投資を行うなど様々な選択肢があります。時間の無さと目指すべき水準をより引き上げる必要性を考えれば、自社開発だけにこだわらない柔軟な選択肢も考えに入れながら機動的な対応をすべきでしょう。

住宅の外皮平均熱貫流率(U値)基準の国際比較(図表1)

出典:各国の住宅省エネ基準をもとにNRIが作成した資料

(矢部)

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