シリーズ 眼を養う#005
R+house住宅のデザインを探る

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私は家のデザインを考えていくとき、「住まい手が心豊かになれる居場所づくり」に重きを置いています。いつ、誰が(誰と)、どこで、どんな姿勢で、何をするのか?まるで未来の日記を書くようなイメージです。どんな居場所を用意したらたくさんの笑顔が生まれるのか、ひたすら思い浮かべます。

この家のクライアントはご夫婦とお子様3人、そしてご主人のお母様の6人家族で、生活のリズムやスタイルの違いが想定されました。そこで、住まい手それぞれが、ある程度離れて過ごした方が良いのか、気配は感じられた方が良いのかなど、視覚・聴覚的な距離感や関係性をつかむことがとても重要でした。そのために、細かなことまで一つひとつお聞きし、その会話のなかで拾った言葉を思い描き、整理していきました。だれがどんな「居方」をするための場所なのか、そこからどんな景色が見えるのか、どんな音や声が聞こえるのか…、ご家族の様々なシーンを頭の中で展開させていき、この家で繰り広げられる物語が完成しました。

私は、住まうという行為においての心の豊かさとは、豪華さや広さよりも、居心地の良さや居方の質によってもたらされるのではないかと思います。

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キッチン正面のピクチャーウィンドウ。朝、昼、晩、そして季節ごとに格子によってできる陰影は変化していき、いつも違った表情を見ることができます。少しでも毎日の炊事が楽しくなるように…。

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奥様のための書斎。家事や子育ての合間に一息つける、この家の中で一番リラックスできる場所です。

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1階下屋の屋根に設えた月見台。天気の良い日は、遠くの山々まで望むことができます。ここでの風呂上がりの一杯は、至福のひとときです。

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