シリーズ眼を養う#025
R+house 住宅のデザインを探る

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宮武 淳夫

建築+α設計

宮武 淳夫

凸型ファサードの家になった。
東側が道路に面して開け、南北両側に隣家が立ち並ぶ街並みの中の敷地。東側からだけでなく、南側からの光も取り込みたい。夕刻まで良好な自然光で満たされた家になるからだ。中央に吹き抜けがあって、南の隣家から2階がセットバックしていれば、それが実現できる。
リビング吹き抜けはクライアントの要望。両親や親戚友人の家も近くにあり、10人くらい招くことができる家の広がりを求めたためだ。家は地域と交流するための場所との考えも強い。友人と一緒に使いやすいキッチンから外部テラスへと繋がるLDKの広がりも有効だ。北側も2階をセットバックしているのは、隣家に日当たりの良さを提供できるように配慮したため。
ヒアリング時に印象的だったのは、正対して相手の目をまっすぐ見つめ、迷いのない意見を述べながらも、ご家族や加盟店さんに気遣いする、バランスのとれたクライアントの人柄。そこから安定、軸、整形、といった造形的キーワードが連想され、左右対称の間取りや凸型ファサードが導かれるヒントになった。それが環境条件や要望と生活の在り方や動線、採光、通風、構造の合理的判断に適合した。
「この」クライアントにこそ相応しいと思える家の姿が、対話の中で生まれてくることは、注文住宅の醍醐味でもあり、自分たちの家という実感をより強く持ち、豊かな生活を育んでもらえることに通じるのではないかと願っている。

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