シリーズ眼を養う#029
R+house 住宅のデザインを探る

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今 知亮 様

一級建築士事務所
アーキテクチャー・ラボ
KON オフィス

今 知亮

静岡県に建つ、ご夫婦と将来生まれるであろう2人のお子さんが住むことを想定した住宅です。

敷地は4つの分譲地の中にある旗竿地でしたが、建築協定により分譲地としてのコンセプトが決められていることや、バーベキューや家庭菜園ができる共有の庭に面していることが特徴的でした。また、引き渡すまでの1年くらいはモデルハウスとして利用されることから、周囲に建つ住宅との関係性も考慮する必要がありました。このような条件下での設計の手がかりは、周囲の住宅が建った状況をイメージしながら、敷地の開放的なところを探すことでした。敷地を観察すると隣地以外は周囲の視線をそれほど気にすることなく、外部の景観を取り込みながら、共有の庭との関係をつくることができそうだということが分かりました。

それを最大限活かしながら、2階建ての住宅において大切にしている立体的な関係性をつくり、明るく広がりが感じられるような住宅にしたいと思いました。

具体的にはひょうたん型のような平屋の平面形状をベースに一部を2階建てとし、平面的にも断面的にも「抜け」をつくりました。住宅の中央にある吹抜、ガレージに設けた隙間、アプローチから見える庭、2階から見える景色など、視覚的にも動線的にも「抜け」が張り巡らされているイメージです。

このようにつくられた内外の「抜け」は、内部空間の居心地をよくするだけではなく、分譲地全体としても風や光が通る環境をつくりだすことになると考えています。

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