特別企画!民法改正。知っておくべきポイント
ーキーワードは「確定設計図書」に従った確実な施工ー

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影響(1)契約不適合責任への変更「契約不適合とは何か」

まず「瑕疵」についてです。従来の民法では「瑕疵」という言葉自体の定義がなく、法律上は何らかの欠点・欠陥があることとされ、曖昧で非常にわかりづらいものでした。契約不適合責任への変更は「曖昧」をなくすためと考えられています。

次に、契約不適合となった場合の住宅会社の責任についてです。今回の改正民法では4つの請求権(追完請求権、補修に代わる損害賠償請求権、代金減額請求権、契約解除)が施主の権利となっています。このうち、代金減額請求権は今回新設された権利であり、従来も何らかの事情で工事請負金額をディスカウントされていたケースもあると思いますが、今後は民法上の請求権となりますので注意が必要です。

「契約不適合」に関する判例(最高裁平成15年10月10日判決)の紹介

 事案 

住宅の工事請負契約において、施主は柱として300mm×300mmの鉄骨を使用するように求めていたが、住宅会社が実際に使用した鉄骨が250mm×250mmであったことが問題となった事案。

 裁判の判断 

この場合の瑕疵とは鉄骨に欠陥があったかどうかではなく、この契約では、より耐震性の高い建物にするため寸法300mm×300mmの鉄骨を使用することが約定され、これが契約の重要な内容になっている。その約定に違反して、寸法250mm×250mmの鉄骨を使用して施工された工事には瑕疵があると判断された。


住宅会社は「使用した250mm×250mmの鉄骨であっても構造計算上は建物の安全性には何の問題もない。鉄骨自体に欠陥もなく、したがって瑕疵には該当しない」と主張しましたが、裁判所の判断は契約の内容に違反しているから瑕疵があると結論付けた事例です。

本件のポイントは、瑕疵には「主観的瑕疵(施主との契約内容相違)」と「客観的瑕疵(明白な施工不良)」が
あり、客観的瑕疵に該当しない場合でも主観的瑕疵に該当する可能性があるということです。つまり、瑕疵があるかどうかを決めるのは、契約内容次第となります

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