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また、日本ではセットバックが一般的だが、ポートランドではセットフロントが主流で、レストラン等の前にある歩道に外部の飲食スペースを設けることを街が推奨している。
その他に特徴的なものは、街並みを作る上で最も重要な“街路樹”だ。
日本の場合は、落ち葉や管理の問題で、殆どの街路樹が高さ4メートル程度で樹木の先端部分を切り込まれる。
それは街並みの美しさよりも合理性を選ぶ日本の国民性だとは思うが、ポートランドの街路樹はすべて自然のままの姿で残されている。
だから長い年月を経て建築物の建て替えがあったとしても街並みは変わらない。むしろ街路樹がその街の歴史を刻む存在である。
また、住宅地では街路樹の管理を住民が行う。自分の家の前にある街路樹も庭の植栽の一部だとポートランドでは考えられている。
流石に10メートルを越す大木の剪定は業者さんに委託するようだが、費用は個人負担でその際のゴミや落ち葉の処理は行政が行っているよう。
ポートランドの街づくりのルーツは市民参加型の街づくりにある。
日本では我々の様な専門業者であっても、なかなか街づくりに関わることはできない。
しかし、ポートランドでは行政と市民をつなぐネイバーフッド担当局を設置して、実際の市の政策に市民や草の根の活動家などが関わるようになっている。
市民が行政と土地利用の政策を作り上げるなど、市民と行政が共に考え共に作るこのプロセスがポートランド市民の原体験となって、今の市民参加型の街づくりに繋がっている。
町内会レベルの意見もネイバーフッド担当局を通じて行政に届く仕組みだ。
そういうポートランドの体制が市民の街づくりの意識を高める要因だと思う。