ハイアス・アンド・カンパニー(東京都品川区)が運営する、断熱リフォームネットワーク「ハウスINハウス」が好調だ。発足から4年半で、加盟会社は80社、1件当たりの平均工事単価は追加工事も含め1200万円に伸びている。シニア世代に向けた断熱工事トップを目指す福島宏人取締役執行役員に今後の展望を聞いた。
―改めて「ハウスINハウス」について教えてください。
既存の床、壁、天井の上から貼るだけのオリジナル断熱パネルを使った断熱工事と、水まわり点工事を基本パッケージとしたリフォーム工事を提供しています。23.5畳相当の屋内工事が含まれてのパッケージの価格は498万円。加盟会社には2カ月くらいかけて3つの講座を受けてもらい、その後、集客イベントを開催する流れです。
―集客イベントはどのような内容ですか。
メインとなるのは、当工法でリフォームした住宅に来てもらう「モデルハウス体感会」です。モデルハウスは、コストをしっかりかける加盟会社もありますが、空き家や自社の有休不動産をうまく活用すれば350万円ほどで作れます。集客のチラシは、成果の出たチラシを標準化して共有しているので、反響率も高いです。
―イベントでは、どれくらいの集客が見込めるのでしょうか。
立地が悪くて2日間で20組ほど、良ければ30~40組ほど来場します。昨年の11月に加盟した会社では、約3か月後の1月に体感会を開催して、1日で18組が来場。うち6件のアポイントが取れて、3件のプラン申し込みをいただきました。最近は、加盟前にモデルルームの候補物件を見つけていて、研修と同時進行でモデルルームを作る会社が増え、立ち上げのスピード感も増しています。
―平均工事単価も1200万円と高い水準です。
下限が498万円なのでせこうめんせきが広がるなどで自然と平均単価が高くなります。一番うまくいっているモデルケースだと、4人で年間2億円超くらいの売り上げを出しています。粗利は高いところで31~32%。加盟金や経費、人件費等も含めて営業利益は8.4%。年間9~10戸受注すれば、営業1人で売り上げ1億円が狙えます。
―断熱の知識がなくても立ち上げは可能なのですか。
研修のほか、不安な場合は現地でのフォローも行いますから大丈夫です。さらにオリジナル断熱パネルは、現場カット可能でどこからでも切れますし、下地も少なくてすむ。施工性が高いので工期は1~2週間ほどです。性能についても、昨年11月に次世代省エネ建材に登録され、全国で8社しかない省エネ建材支援企業の認定も受けました。
―断熱リフォーム市場には、まだまだ可能性があると思われますか。
国が押している住生活基本計画では、2025年までに住宅ストックの20%を省エネ住宅にしようとしています。住宅ストックは現在、戸建てだけで2661万戸。そのうちの6%にあたる160万戸が断熱された住宅ですから、ギャップは372万戸あります。これを10年かけてリフォームするとして、1年あたり約37万戸のニーズがある。新築の着工戸数を超える数字ですから、ビジネスとしては大きなマーケットだと思います。
―今後の展望は。
断熱など、シニア世代に対して快適な環境を提供する会社として1番を目指します。そのために、建築家と組んだデザインパッケージ商品を今年リリース予定です。デザインは、シンプルモダンの「ミニマム」、ブルックリンスタイルの「インダストリアル」、ウッディな空間を出演する「フィールド」の3つ。これがプラス498万円で選べます。コアになるのは断熱をベースとしたリノベーション工事。そういう意味でも、フックとしてデザインは有効だと思っています。数字的には、3年で加盟会社172社、着工戸数840戸を目指します。